ダイアグノーシス|英語圏で話題のNetflix医療ドキュメンタリーを観て【感想】

先月リリースされたNetflixの新ドキュメンタリー「ダイアグノーシス- 謎の症状を探る」(英題:Diagnosis)。端的にいうと現代の画期的ツール、クラウドソーシングを使って謎の症状を解明するという内容です。

このドキュメンタリーがNetflixらしくミクロからマクロまで問題提起がもりもりなんですよ。
社会問題なんかだと特にアメリカの闇である退役軍人に対しての政府の扱いや、彼らの現実にまで迫っているのはさすがだと思いました。

全編通して考えさせられる内容になってます。めちゃくちゃ面白い+全7話と短いこともあり週末に一気見しちゃいましたよ。

内容

世界的にも有名なイエール大学医学部准教授であり、内科医であるリサ・サンダース医師が2002年から始めたNew York Timesのコラムが、原因不明の珍しい症状を抱えた患者さんが「診断=diagnosis」を探し求める姿を追った医療ミステリー(医療・病気の謎)なのですが、サンダース医師は去年このコラムの読者を中心とした新しい試みを始めます。

今まではすでに解決した謎をコラムに書いていましたが、今回はそうではなくコラムの読者に謎解きの手助けをしてもらうという試み。

謎の症状に悩まされている患者の症状と病歴、キーポイントなどをサンダース医師がコラムに詳しく書き、患者は短い動画で直に読者に自分の体験をシェアします。そのコラムと患者の話を見て、読者(ただの一般人や医療関係者など様々)は自分の経験や知識に基づいた答え=病名を動画によってシェアし、そのアイディアをヒントや助けに患者と医者は正しい診断を見つけていく。

ダイアグノーシスの第一話冒頭でサンダース医師は「医者が行なっていることは、必ず一つの答えにたどり着く算数ではなく、一つの問題からいくつもの答え・可能性を導き出す探偵業だと」言っています。でも現代医療や医者もコナン君ではないので、難問過ぎて未解決事件となることが多々起こるのが現実です。

未解決事件をクラウドソーシングの力で解決できないかと考え、サンダース医師のコラムを実験場にしたのが今回のドキュメンタリードラマです。

見どころ

情報番組として

様々な症状が色んな理由で体に現れるのを見れるので、こういう症状がこんな珍しい病気なこともあるんだ、と知識として備えて置けるのがこういう医療系ドキュメンタリーのいいところですよね。

また、遺伝子の病気に関してはどうしようもないけれど、野生動物やマダニなどが由来の病気は工夫すれば防げるんじゃないでしょうか。自分自身や愛する人を守る術を身につけることができるのも良いと思います。特に頻繁に出てきたライム病は日本でも確認されているので、森や山に行く時なんか気をつけたいですよね。

考えることを促すドラマ

全編を通して描写される数々の「問題」が自分自身や現代社会を鑑みる機会になるかと思います。

家庭内の問題や、退役軍人の扱い、人種差別・女性軽視、医療・医者・医療制度。パッと思いつく限りでもドキュメンタリー撮影の間にこんな問題をカメラが捉えています。

ミクロ問題

ミクロの問題でいうと家庭内不和だったり家庭内の関係が主だと思うのですが、このドキュメンタリーでは家庭内異常をはっきりと映し出しています。
アメリカの大型掲示板「Reddit」でもそのことが話題になっていたのですが、第一話に出てくるエンジェルの家族と、第5話に出てくるラシェイの家族が抱える問題は一番身近なものなんじゃないでしょうか。

家族に対する接し方が両極端なこの二家族。というかエンジェルの「父」とラシェイの「母」。
彼らは極端ですが、ステレオタイプな困った「父親」と「母親」だと思います。
自分も家族に対して彼らのような態度をとっていないだろうか?と鑑みる良い機会になりました。

ドキュメンタリーで同人たちをみて酷い人だなと思たら自分を当てはめて客観的に自己分析してほしいし、もし少しも酷いと思わないのなら他の視聴者の目にはどう映ったかを読んでみて、マジョリティーからするとどう酷いのか考えてみるのがいいかと。
そして自分が少なからず家族に対してこういう態度をとっていないか一度考えてみてほしいです。

マクロ問題

すでに上であげたように様々な社会的問題が患者の生活を通して見られましたが、私がその中で一番気になったのが現代の医療情報システムに関してです。

このドラマの趣旨であるクラウドソーシングの力を借りて謎の症状の病名を解明するということですが、ドラマを通してクラウドソーシングの力ははっきり証明でき、今回の試みは大成功を収めたと言っていいと思うし、それはすごいことだと思います。

ただ疑問に思ったのは、今やインターネットを通して世界中の情報と24/7で繋がることができ、買い物も世界中どこの国からでもできるようになっている時代なのに、医療の情報に関してはなんでこんなに浸透性がないんだろうかということ。

今まで原因不明だと言われてきた症状をネットに上げるとたちまち色んな推測が何十というレベルで出てきて、結果その中でも多かった予想が本当の答えというのはとっても素晴らしいことですが、このドラマを観たただの「一般人」としてはそれだけの人数がさっと出せる答えなのになんで専門医が何度も見落としてしまったり誤診するんだろうと思ってしまう。

もちろん医者だって人間だし、誤診してしまったり可能性を見落としたりしてしまったりするでしょう。
でもこのIT時代に症状や病名がバンクされたデータベースは未だにないんでしょうか?

サンダース医師は診断を下せない医師を擁護するのに医者は患者の命を守ることに重きを置いて仕事をしているから、命に別状がなければ症状の原因を取り除くことを考えるのは医者の仕事ではない。何故こういう発作が起きるのか?と考えることは医者の給料に見合ったことではないし、また多くの患者を抱える医者はそういう時間がないとBUSTLEに語ってて、ドラマの中でも同じような意味のことを話しているんですが、医療従事者でない患者側からすると原因究明は否定のしようがないくらい医者の仕事だと思うんでよね。
医療関係者からするとそうでないのでしょうか。
もし発作が何故起きるのかを考えること、診断することが医者の仕事じゃないというなら何のための専門医何でしょうね。

百歩譲って診断をするのが医者の仕事じゃないという言い分を受け入れたとしても、体の一部を失うことになる手術をMRIやCTなどを取らずに、最新の治療法などをチェックせずにかるーく診断するのは本当にやめて欲しいと思いました。

最後に

私自身が原因不明の病気に悩まされたことがあるので、色々考えてしまうドキュメンタリーでした。
お医者さんは誤診断をしないようにあえて病名を名言することを避けてることもあるのかもしれませんが(このドキュメンタリーの場合はロケーションが訴訟大国アメリカだし)、患者にとったらたまったもんじゃない。

医者用のデータベースは難しいとしても、患者本人が選択を得られるような、患者用のデータベースかまたはこのドキュメンタリーと同じスタイルのクラウドソーシングシステムができればいいのにと願うと同時に、いろんな意味で自分や子供を守れるのはやっぱり自分自身なんだなと思わせられるドキュメンタリーでした。

サンダース医師のNew York TImes掲載コラムは↓から読めます。

“r/Netflix – The First Episode of 'Diagnosis’ Rubbed Me the Wrong Way (Not Because of the Dad).” reddit. Accessed October 2, 2019. https://www.reddit.com/r/netflix/comments/cs05pi/the_first_episode_of_diagnosis_rubbed_me_the/.

“Introducing 'Diagnosis,’ a New Show From The Times and Netflix.” The New York Times. The New York Times, July 22, 2019. https://www.nytimes.com/2019/07/22/magazine/diagnosis-tv-netflix-lisa-sanders.html?action=click&module=RelatedCoverage&pgtype=Article®ion.

Fratti, Karen. “This Netflix Series Will Convince You That The Internet Sometimes Knows Better Than Your Doctor.” Bustle. Bustle Digital Group, August 17, 2019. https://www.bustle.com/p/lisa-sanders-from-netflixs-diagnosis-on-why-sometimes-the-crowd-knows-better-than-your-doctor-18655638.

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Posted by Hanako